かめさきこども・アレルギークリニック

院長 医学博士 亀崎 佐織
日本小児科学会認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
〒561-0872
大阪府豊中市寺内2丁目10番8号

電話:06-6865-5300

今月の独り言

2018/07/30

7月のぜんそく

 気管支喘息はいろんなきっかけで発作が起きます。子どもは、風邪をきっかけに発作が起こることが多いのですが、そのほかにも季節の変わり目、台風などの気圧の変化、冷たい空気を吸い込むこと、運動など、いろんな原因があります。本来7月は発作の少ない季節なのですが、今年は大雨があったり猛暑だったり台風がきたりなど気候がおかしいのか、なんだか発作を起こすウイルスが流行っているのか、発作で受診する患者さんが多いです。
 7月は9人の患者さんが、ウチから紹介入院したのですが、皆呼吸器がらみ。10か月から4歳までの小さい子ばかりです。純粋な肺炎は2人だけで、7人には喘息があります。喘息に肺炎を合併したのが3人。なかには、初めて受診された喘息で、ちゃんとした予防治療がされておらず、発作がひどくて入院になった子が2人いました。
 7月28-29日と福岡で日本小児臨床アレルギー学会があり、35年前この会の前身である難治喘息研究会を始めた大先輩の先生方の話を聞きました。ステロイド吸入のなかった時代、ほんとに子どもの喘息の重症はひどかった。夜に眠れず起き上がって空気が入らない息をして発作に苦しむ子がたくさんいて、重症な子たちは、施設入院療法といって、親元を離れて病院で生活し学校に通っていたのです。われわれより年上の小児科医はたいていひとりかふたりは患者さんを喘息で亡くしています。たとえば1970年には20歳未満で喘息死した人は740人もいました。2010年以降は喘息でなくなる子どもは0から数人になっています。
 昔は喘息の子たちは発作で学校を休み、体育は見学し、運動会や遠足は行けず、という生活でした。今はちゃんと長期管理をして、学校や幼稚園も休まず、好きな運動をして思いっきり遊ぶ、当たり前の生活ができます。皆さん、夏休みもいっぱいあそんでね。
追記:7月30日の外来では、クループと、喘息+RS肺炎の患者さん二人が入院になり、7月の入院数は11人になりました。夏なのにRSウイルスが流行しており、0−1歳で熱が続き咳がだんだんひどくなる時は要注意です。

2018/06/28

テレビドラマの医者になりたい?

 最近テレビのドラマでは医療ものがはやりで、よくヒットするのだそうです。シリーズ化されてるのも多いですよね。私は、噂を聞いてときどき見ることもあるのですが、やはり見ると自分の知ってる医者の生活からするとリアリティがなくて、ちょっとしらけて、こんなんないよなーと思って、ずっと見続けることはないです。でも一般の方からすれば、医療ってこうあってほしいみたいなのがあって逆に人気なのでしょうね。
「私、失敗しないんで」というのが決め言葉のフリーランス外科医の美人女医のドラマは確かにおもしろい。かっこいいし、失敗しない、というのは医者に限らず人間の理想なのでこれほど受けるんでしょうね。しかし人間は失敗するものです。だからこそ慎重に、考えられるすべての準備をして医者は診療にあたるのです。外科医は病気のもとを切除してよくするという効果が目に見える治療をします。しかし手術はひとりではできず、必ずチームで行いますので、誰か突出した外科医がどこででも好きに手術する、というのは通常あまりないことです。チーム内の協力が欠かせないのです。優秀な外科医ほど、難しい手術の前には患者さんのデータを分析し、手術の方法をいくつか挙げ、何かアクシデントがあったときの対応をいくつも備えておきます。それは実際の手術時間の何倍もかかるのです。私なら失敗しないと豪語する医者より、黙って手術準備を完璧にする医者に手術してほしいなあ。
 それからドラマでおかしいのは、大きな会議室でまるで株主総会みたいなカンファレンスを行ったりみんなで手術を鑑賞していることです。おいおい、みんな仕事あるだろう、病棟も外来も患者さんがいるのに、何してんだよーとつっこみをいれたくなります。
 まあ、楽しみとしてのドラマなので目くじらたてることなく楽しんでいただければいいんでしょうが。あ、それと、どのドラマも若い美男美女、売れてる俳優さんを起用するのでそういう医者や看護師が活躍していますが、まあ、現場はベテランがしきりますので。統率する医師は禿げたり白髪だったりのおじちゃんが多いし、看護師長や主任もでーんとしたおばちゃんが多いです。若い奴はまだ下っ端。
 現実、安心な治療は若いかっこいい美男美女という見かけではなく、経験の基づいた医師看護師のちゃんとした説明や指導や治療だと患者さんはわかっていただいていると思います。中身の充実が大切!

2018/05/27

腸内細菌って?

 最近(さいきん)、腸内細菌(さいきん)が注目されています。人間のからだにはあちこちに細菌が住んでいて、鼻やのどの粘膜にも皮膚の上にもいるんだけど、70%はなんと腸の中にいるのです。大人の腸の中には約1000種類、100兆個の細菌がいるんですって!細菌は、ばいきんともいうみたいに、病気の原因になって悪いもの(病原菌)というイメージが強いけれど、いい腸内細菌は、栄養やエネルギーを作るのに役立っていたり、病原菌の繁殖を抑え、腸管の免疫(体を守る力)に重要な役割を果たしているのです。
 赤ちゃんは出産のとき産道を通ることで、ビフィドバクテリウム、バクテロイデス、ラクトバチルスなどを獲得し、これは免疫の成熟に有用な腸内細菌です。帝王切開で生まれた子は腸内細菌の種類がかなり違っていて、メタボリック症候群や免疫関連疾患の発症頻度が高いのはそのせいだという報告が増えています。また、母乳育児ではいい腸内細菌が増えるほうに傾きます。
 腸内細菌叢の異常に対してプロバイオティックスの効果が注目されています。今、いろんな製品が出ていますよね。乳酸菌を強調したヨーグルトとかサプリとか。アレルギー疾患に対する治療や予防に対する研究がいろいろされていますが、まだ確実なものはないようです。どういう背景のある人たちに、どの細菌をどのくらいの量、どれだけの期間与えて、どう評価するかというのが計画しにくいタイプの研究だからですが、小児のアレルギー疾患発症予防に効果が期待されています。
 抗生剤は病原菌に対しては有効な治療ですが、不必要な抗生剤の投与は、耐性菌を増やすだけでなく、腸内細菌叢を乱して免疫に影響をあたえる可能性があります。こどもの感染症の9割以上はウイルスで、抗生剤は無効です。小児の感染症のガイドラインでは抗生剤はちゃんとした必要性を確認して使うことが勧められています。私もほんとうにこの10年、外来で抗生剤を出さなくなりましたねえ。

2018/04/30

増えてるナッツアレルギー

 3月・4月と忙しい季節でした。年度終わり・初めの検査や説明や書類書きでずいぶん時間がとられて、待ち時間が長くなる患者さんもあり、ごめんなさい。5月になるとすこし状況は改善すると思います。
 最近食物アレルギーのなかでも、ナッツアレルギーの患者さんが増えてきました。ナッツといっても樹木の系統によっていろいろです。一番有名で多いのがピーナッツアレルギー。でも最近では、クルミだけとか、カシューナッツだけの患者さんも増えています。
 ピーナッツアレルギーの乳幼児の7割は初めてのピーナッツ摂取で症状を起こします。なので、母親が妊娠・授乳中にピーナッツを食べて胎盤や母乳を通じて感作(IgE 抗体ができること:これがあって初めてアレルギー症状が出ます)されると考えられてきました。しかしピーナッツオイルを使ってベビーマッサージをした乳児に感作があることがわかり、最近の食物アレルギーの感作の多くは、経皮感作、すなわちバリア機能が低下した、湿疹や乾燥の強い皮膚を通じてアレルギーが成立するということになってきました。当院で、赤ちゃんの湿疹ははやくよくしましょう、というのも食物アレルギーを予防したいからが目的のひとつです。
 ピーナッツアレルギーの患者さんの話を聞くと、家族の誰かがピーナッツが好きでよく食べています。アメリカの研究でも証明されていますが、赤ちゃんも母乳を与えているお母さんもピーナッツを食べていないのに、ほかの家族で食べているピーナッツが多いほどピーナッツアレルギーが増加するのです。
 ピーナッツはいろんな料理に入っています。クッキーやチョコレートなどのお菓子はもちろんですが、ドレッシング、中華めんのたれ、カレーのルウのなか、中華料理の下味などです。包装された食品であれば、ピーナッツは原材料の中に表示する義務があります。外食の時も必ず確認してください。
 クルミは、お菓子以外にも注意するものがあります。ドレッシングもありますが、五平餅といかなごのくぎ煮です。見た目はわかりませんが、たれにクルミが入っていることがあります。
 楽しいゴールデンウィークですが、旅先では気持ちも緩んで、いつもと違う状況でつい知らないものを口にして誤食が多いです。ドライブインのお店で試食コーナーなんて気をつけてくださいね。

2018/03/25

また今年も忙しい春です

 この冬はほんとに寒かったですが、やっと3月半ばになって春めいてきました。桜が楽しみになってきましたね。
 年度末の検査や書類の作成で、いつもの忙しい時期です。アレルギーの予約が取りにくくなり、土曜日も朝早くから並んでもらったり、ネット予約もすぐいっぱいで受診できなかったり、ご迷惑をかけています。医師二人でやっていますので、同じように対応できますのでご利用ください
 アレルギーは慢性疾患です。治療を続けることが大切です。
 喘息に関しては、長期管理といって薬をある期間継続することがあるのですが、その場合は2か月ごとの定期受診となり、薬が切れないうちに予約で受診してもらっています。そうすると発作のコントロールがうまくいきます。
 アトピー性皮膚炎の塗り薬に関しては、それぞれの患者さんの重症度によって、薬の強さも塗る頻度も量も違います。プロアクティブ療法といって、ステロイドの塗り薬をしっかり塗って、よくなってもいきなりやめずに少しずつ減らしながらコントロールしていく方法は重症の患者さんにやっていますが、その場合は1週間後とか2週間後、1か月後と塗り方を変更するためにこまめに受診してもらいます。でもアトピー性皮膚炎のほとんどは軽症なので、部分的な湿疹にステロイドを塗ってよくなったらやめる、でも保湿やスキンケアは続けるというリアクティブ療法になります。最初のときに塗り方や、生活指導などはやるのですが、どうしてでしょう、やはり毎日毎日全身に保湿剤を塗る、というのは大変なのでしょうか。3-4か月分くらいの薬や保湿剤しか出してないのに、半年ぶりとか1年ぶりとかに薬がなくなりましたーと受診されると、またもとのようにガサガサざらざらぶつぶつかゆいかゆい皮膚に戻っています。慢性の病気なので、よくなっても維持することが大切なのですが、熱が出たとか咳がひどいとかでなく、皮膚だとあまり気にしないで受診しないご家族もいらっしゃいます。
 食物アレルギーも、年齢とともに食べられるようになっていくのですが、食べさせなければ進みません。検査のたびに説明して、卵や乳製品の食べ方を説明するのですが、半年、1年ぶりに受診され、「食べられるようになりましたー?」と聞くと、「いや怖くて食べさせていません」「食べてくれません」「かゆいというのでやめちゃいました」「忙しくて・・・」。食べることも治療なのでこれでは治っていきません。半年放っておかずに、うまくいかなければまた心配なことがあれば、2-3か月くらいでまた相談してほしいのです。
 それでも、中学生になる、高校生になるといった成長した子どもたちが久しぶりに来てくれる春休みは、彼らの成長を親御さんと一緒に喜びます。小児科医になって一番の楽しみですね。




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