かめさきこども・アレルギークリニック

院長 医学博士 亀崎 佐織
日本小児科学会認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
〒561-0872
大阪府豊中市寺内2丁目10番8号

電話:06-6865-5300

今月の独り言

2017/07/30

感作イコールアレルギーではない!という話

アレルギーの病気は、IgEというたんぱく質がカギを握っています。何かが体のなかに入ってくると、アレルギー体質のひとは、敏感にそれを感じて、それに対抗する抗体という物質を作ります。普通の、細菌やウイルスに対抗する抗体はIgGやIgMといって体を守るほうに働きますが、アレルギーの抗体はIgEといって、食べ物やほこりや花粉など、身近なものに作るので、それによってかゆみや鼻炎やぜんそくが出るので困りものです。
IgE を作って持っていることを「感作されている」といいますが、アレルギーの病気の難しいところは、感作されているからと言って病気とは限らないことです。花粉に感作されていても鼻炎の症状がないひともいますし、多いのは、食物に感作されていても別に食べても症状がない、つまりそれの食物アレルギーとは限らないのです。
食物アレルギーの考え方は、この10年でずいぶん変わりました。昔は、アトピー性皮膚炎の患者さんがある食物に感作されていると、その食物アレルギーだということで食物除去をしていました。でも最近わかってきたのは、食べていないと本当に食べて症状の出る食物アレルギーになっていく、食べさせたほうが食物アレルギーは発症しない、またアトピー性皮膚炎は食物のせいでおこるのではなく、皮膚に湿疹が続いてバリア機能が悪いために皮膚からいろんなものの感作が起こる、ということです。世界中でそういうデータがつみかさねられてきました。専門医は、関連の学会や研究会に参加していると、そういう話を聞きますから論文を読んで勉強して、自分の診療も変えていかねばなりません。
 最近初診の患者さんで、食べていた卵を、感作されているからといって除去するように医師に指示され、何年も完全除去をしてきた子がいました。脱ステロイドといって湿疹を治す治療はいっこもしない皮膚科でわずかに感作されているからと5歳にもなるのに卵と小麦の完全除去を指導されている子もきました。
赤ちゃんのときに本当の食物アレルギーで症状があっても、成長とともに治っていくことがほとんどです。私たちアレルギー専門医の仕事は、本当になおりにくい食物アレルギーの患者さんに、負荷試験をして、安全に食べられるような食べ方の指導をすることです。
 お願いだから、食物アレルギーでもないのに、食物除去を安易に指示しないでほしいなあ!安易な「やめておきましょう」を言うのは簡単だけど、あとで大変なのは患者さんと家族なんですから。食べられるようになるまでちゃんと責任もって指導してほしい、なんていっても無理か。
 今の最新の治療は、「さっさと皮膚をつるつるにして、なんでも早くから食べる!」なのです。アレルギー科と看板がかかっていても、専門医でないことが多いですから、治療や指導に疑問があったらよくその先生に質問してくださいね。

2017/06/29

夏風邪に負けるな!

 梅雨空がすっきりしません。季節はもう夏です。
 小児科の外来は、この1か月夏風邪が増えています。特に手足口病が多いです。今年の手足口病は手のひら足の裏だけでなく、うでにもふとももにもぶつぶつが広がり、それが茶色いかさぶたになってなかなか派手な病気です。これは数年前からですが、手足口病もウイルスが進化(?)しているのかも。
 夏風邪は、ウイルスによる流行性感冒ですが、ウイルスの種類によって症状が異なり、名前がいろいろです。のどだけ真っ赤でぶつぶつがあって高熱が出るのはヘルパンギーナ。そうかと思っていると手足に水ぶくれのようなぶつぶつが増えると手足口病。熱に加えて目が真っ赤になって結膜炎をおこすものはプールで感染することからプール熱。昔からの病名ですが、原因ウイルスがはっきりすれば、なんとかウイルス感染症といったほうがいいかもしれません。
 夏のウイルスは、高熱を起こすものが多いです。39-40℃が少なくとも1〜3日。アデノウイルスでは5日から1週間続きます。朝は下がって夜に上がる、というぎざぎざの熱型になることが多いです。熱はしんどいですが、ほかに症状がなく、子どもは比較的元気です。我々小児科医は、症状が続くと、必ず、合併症はないか、ほかに悪い病気ではないかと考え、診察をし、いろんな検査をしますが、ほんとにしつこい夏風邪は、熱だけで1週間続いたりします。大丈夫だと思っていても何か見落としはないかと心配で、気をつけることをお母さんにお話しして、こういう症状があればまた来てね、こうなったら夜でも救急に行ってね、と言います。ウイルス感染は時々、突然悪化する心筋炎、脳炎など合併症があるので油断がならないのです。
 熱が数日続いても、食欲があって、遊んでいて、眠れていれば大丈夫。熱の記録をつけて、3日以上続くか、心配な症状があれば受診してくださいね。

2017/05/30

アレルギー教室始めます!

 アレルギーの病気の治療をするには、患者さん自身、子どもの場合には保護者の理解と協力が必要です。医者が出した何かの薬を毎日飲みさえすれば病気が消える、というものではありません。特にアレルギーの病気は体質に基づく慢性疾患なので、薬だけでなく生活習慣や衣食住の生活環境にも気をつけなければならないし、長期におつきあいしなければなりません。それには、どうして病気が起こるのか、何が悪化させるのか、それを避けるにはどうしたらいいのか、という知識が必要です。
 当科はアレルギー専門の小児科ですから、初めて来院された患者さんには時間をかけてお話しすることにしています。どうして今こういう症状が起きているのか、どうすれば治っていくのか、そのためにどう環境の調整をするのか、薬をどう使うのか。いろいろお話すると、初めて聞いた方が多く、「目から鱗!」というお母さんもよくいらっしゃいます。ただ、ひとりひとりの患者さんに割ける時間は限られていますので、私たちはよく集団指導、というのを利用します。患者さんに何人か集まっていただいて、お話をするのです。
 当クリニックでも、10月から「アレルギー教室」を始めることになりました。アレルギー専門の病院ではたいていどこも、患者さん向けに教室や勉強会を開いており、前にいた済生会中津病院でも20年前に、末廣豊先生と私で教室を始めました。患者さんやお母さん方から好評で、11年前クリニックを開業した時も最初は教室をしていたのですが、医師ひとりで診療が忙しくなると大変になって、時々になり、ここ数年はまったく開いていません。
 昨年海老島先生が仲間になってくれて、看護師さんも増え、特にアレルギーエデュケーターといってアレルギー専門の医療者の資格をもった看護師も来てくれました。患者さんも増えていますし、熱心なお母さんお父さんも多いので、また教室を始めることになりました。病気はなぜ起こるのか、治療はどうするのかを中心に詳しいお話をして、あとは患者さんからのどんな質問にも答えます、のコーナーになります。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーについてそれぞれ計画していますので、夏ごろには皆様にお知らせできると思います。どうぞご期待ください。

2017/04/27

経口免疫療法は慎重に

 食物アレルギーは乳児期に多くて、成長とともに食べられるようになることがほとんどですが、当クリニックのように専門にしていると、重症の患者さんがたくさんいます。2-3歳になっても検査値が高いとか、ちょっと食べても症状が出る患者さんは、計画的に少しずつアレルゲン食品を摂っていく「経口免疫療法」という治療をします。いまのところ、重症食物アレルギーを治すにはこの方法しかないのですが、ちょっと間違うとアナフィラキシーになることもあるので慎重にしなければなりません。最近ちょっと思い違いをして失敗をした患者さんが続きました。
1)小麦アレルギーが強い3歳。ゆでうどんの負荷試験をして、うどん1cmから、週3回食べて少しずつふやしていったのですが、7cmをこえると咳がでるので、7cmで維持していました。ちなみに週2〜3回は食べ続けないと、間があくと症状が出ることがあります。忙しくて忘れていて食べるのが三日あいているのに気付いたお母さんが、うどん屋さんに入って5cmのうどんを食べさせたらいきなりアレルギー症状が出ました。実はそこのうどんは乾麺で、いつも食べているゆでうどんより小麦タンパク量が多かったのです。いつも同じもので継続しないといけません。
2)乳のアレルギーのきつい患者さんには超熟というマーガリンしか入っていない食パンから開始します。1枚食べても乳タンパク2.2mgなのです。乳タンパク量を測定した食品表があって、それを見ながら少しずつ乳タンパク量を増やしていきます。お菓子などで130mgくらいまでやっと乳タンパク量が増えた3歳のお子さん、何を思ったかお母さんが牛乳30ml入ったパンケーキを子供に食べさせてアナフィラキシーになりました。実は普通の牛乳のタンパク量は3.6%なので、1mlの牛乳では約36mgの乳タンパク量になります。いきなり1080mgの乳タンパクが入ったのですね。お母さんの勘違い。あせらないでね。
3)卵は、加熱の具合で食べられるか食べられないかが大きく影響されます。はじめは卵の少し入ったスナックパンやクッキーなどを少しずつ増やしていくのですが、これらのものは200℃でよく火が通っています。揚げ物も、ころもに卵を使いますが、200℃で揚げてあるので大丈夫。しかし、ハムやソーセージなどの食肉加工品は、よく卵白が入っているのですが、蒸したりいぶしたりして作るので、火の通りが悪いのです。ロースハムって普通そのまま食べますが、念のために最初はフライパンで焼いてね、1/8枚から8回にわけて少しずつ増やして1枚にしてね、とお話ししています。先日5歳のお子さん、ロースハムを初めは1/4枚焼いて食べてどうもなく、2回目をお母さんが1/2枚、それもそのまま食べさせてアレルギー症状が出ました。増やす量も多いし、いきなり生で。
 このように、アレルゲンの性質を知らないと症状が出ることもある経口免疫療法です。もちろん、適当に食べていってもどんどん倍倍に増やしても、何も起こらない患者さんもいます。それぞれの患者さんに対応した食べ方の計画が大切な治療法なのです。

2017/03/30

保育園のこと

 4月から保育所に行き始める、という子どもたちの健康診断やアレルギーの意見書を多く書いているこの頃です。なかなか希望の保育所に入れない子どもも多く、「日本、死ね!」という保育所に落ちた母の叫びもよくわかるものがあります。待機児童も問題ですが、劣悪な保育環境はもっと深刻です。姫路の認定子ども園で定員超過の子供を預かっていた件では、何より子どもたちの給食が安全に十分に与えられていなかったというのが一番ショックでした。
 私は、結婚13年目にやっと子どもを授かって高齢母となりました。体力は人並み以上にあるし、小児科医ですので生まれた赤ん坊のことであまり心配はないし、とにかく待望の赤ん坊が来て、楽しいうれしいおもしろい、の毎日でした。唯一の問題は、結構専門の仕事(アレルギー専門外来)をしていたので育休をとっても替わりの先生が来るわけでもなく、上司の先生に負担がかかるので、産休だけで復帰することにしました。夫は単身赴任で別居でしたし、実家は遠方で第一もう両親は高齢で孫の世話どころではありません。頼りは保育所だけでした。生後2か月から病院内のデイケアに赤ん坊を預けて復帰。病院の近くにアパートをかりて最初はベビーカー、後になると自転車で子どもをのっけて出勤。昼休みには授乳に行って、夕方仕事が終わると子どもを連れて帰り、「お母さんと一緒」を見たり歌いながら自分のご飯と離乳食を作って日々成長する子どもと過ごす。人生で一番楽しい時期だったなあと思います。
 子どもが2歳になる前に京都に引っ越し、家からすぐ近くの公立保育園に通うようになりました。通勤時間が長いので、延長保育の一番に預け、一番最後に迎えに行く生活でしたが、とってもいい、家庭的な保育園で、子どもたちがのびのび育ちました。うちの子が一番滞在時間が長いので、どの先生にもほかのクラスの父兄にも〇〇ちゃん、と可愛がってもらえました。お散歩中に転んでおでこにけがをした時も先生が病院に連れて行って、抜糸も連れて行ってくれました。お誕生会で給食の試食をして、「冬瓜のひすい煮」なんていう手のこんだ季節のものが出てびっくり。息子は好き嫌いが何もなく育ちました。ときどきお迎えにお願いするベビシッターにも恵まれ、家族で可愛がってもらって、おかげで私は仕事を続けることができました。本当に、子どもを育てるのには親だけでなく、周りのみんなの愛情と理解がいるのです。
 おかげで息子は今年20歳になります。新たに保育園・幼稚園に行き始めるたくさんの子どもたちが、のびのびと明るく強く成長しますようにと願わずにはいられません。




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