皮膚の状態がよくなっても保湿剤は塗ったほうがいいのでしょうか。

アトピー性皮膚炎の本態は、アレルギー体質というより、皮膚のバリア機能の異常といわれています。つまり、皮膚が乾燥肌で、敏感肌で、外界からの異物の侵入や刺激に対して非常に弱くて反応してしまうのです。ですから、ワセリンなど、保湿剤を使ってなるべく皮膚の乾燥を防ぎ、保護してあげることが大切です。いい皮膚状態を保っているとだんだんバリア機能が改善し、ちょっとした刺激では湿疹やかゆみが出なくなってきます。保湿剤は使いやすいものならなんでもいいですから、毎日のスキンケアを習慣にしてください。

皮膚科でプロトピックという薬をすすめられたのですが、これはどういう薬ですか。

プロトピックは免疫抑制剤で、ステロイドと同じく炎症をおさえる作用があります。でもステロイドと異なり、長期間使っても副作用がないので、ステロイドを中止できないような慢性・重症の患者さんにはとてもありがたいといえるでしょう。しかし、急性期の炎症の強い皮膚に塗ると、ぴりぴり刺激感があるので、ステロイドでいったん皮膚状態を落ち着かせてからメインテナンスに使いましょう。2歳以上で、塗り方や塗る量に決まりがありますので、よく使い方を習ってください。

ステロイドの塗り薬を処方されましたが塗り続けると蓄積されて副作用がでるのではと心配です。

ステロイドはホルモン剤ですから、長期間飲み続けると副作用が出ることもあります。しかし、塗り薬で適切な使い方をすれば、副作用が問題になることはまずありません。蓄積することもありません。ステロイドの塗り薬にもランクがあり、皮膚状態にあったランクの薬をちゃんと使えば1週間でよくなりますから、よくなったらやめて保湿にする、ステロイドのランクをおとす、あるいは塗る回数を減らす、など変えていきます。ランクによって、どのくらい塗ったら副作用が心配、という目安がありますが、患者さんはほとんど塗り足りていないのが現状です。一定期間に使用したステロイド量をチェックすると安心です。塗り方をちゃんと指導する医者、使った薬の量を確認する医者を選んでください。

湿疹を薬でよくしてもまたしばらくすると同じ状態になるので悲しくなってしまいます。

塗り薬を塗る期間が短いのかもしれません。最近はTARCといってアトピー性皮膚炎の皮膚の炎症の程度を示す検査があります。これが高い患者さんは、ある程度ステロイドを塗って見かけはきれいになっても、皮膚の中の炎症程度が強く、やめるとまもなくぶりかえします。こういう場合は、あまりあせらずに、ずっと塗り続けて、ゆっくり減らしていく方法が効果的です。これをプロアクティブ療法といって、湿疹をくりかえす慢性のアトピー性皮膚炎の患者さんに行なっています。専門医にご相談ください。

また、ステロイドの塗り薬は炎症を抑えていったん皮膚をよくするのですが、それから再び湿疹をおこさないようにするには、悪化原因を分析して予防することが必要です。もともとアトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は乾燥して過敏なので、保湿剤は気長に塗り続けてください。それから、汗で首や肘や膝を掻いて悪くする場合には、汗拭きやシャワーが必要ですし、ストレスで掻くような子どももいます。赤ちゃんではよだれ、大きな子どもではダニ・ホコリ、ペットなどアレルゲンが悪さをしてないか確認してください。でも、いい皮膚の状態を長く続けると少々の刺激ではわっと悪くならなくなりますよ。

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