食物アレルギーは千差万別、年齢によっても、検査数値によっても違います。同じようなアレルギー検査陽性でも、アレルゲン食物を食べられる人もあれば、アナフィラキシーを起こす人もあります。もっと言えば、同じひとが同じものを食べても、体調によってアレルギー反応が違うこともあります。ですから食事療法はオーダーメイド、個々の患者さんに詳しい指導がいります。ここでは、一般的な質問についてとりあげます。

卵除去の給食でみんなと違うと、幼稚園でいじめられないか心配です。

幼稚園の年代で、そんなことでいじめはありません。「なんで○○ちゃん、みんなと給食ちがうん?」「アレルギーやから卵食べられへんねん」「ふーん」てなもんで子どもたちはそれで納得します。もちろん先生にはよくお話をして理解していただきましょう。

ちなみに、ときどき、卵食べられなかったらいろんなお菓子が食べられなくてかわいそう、なんていうひとがいますが、かわいそうなことなんてありませんよ。卵製品はたくさんあるので、お母さんは食事を作るときにちょっと不便ですが、一生懸命食材を選んだりおやつも手作りしたり手をかけるでしょ。卵なんか使わなくってもいろいろおいしいものは作れるのです。おかあさんの愛情がいちばんのごちそう!

卵以外にアレルギーをおこすものはどんなものがありますか。

乳児の食物アレルギーの原因食物は卵、牛乳、小麦の順番です。離乳期は、米、野菜、魚など和食中心の離乳食のほうがアレルギーをおこしにくいでしょう。もう少し年齢がいくと、エビ・カニ、ソバ、ピーナッツなどのアレルギーも出てきます。これらのアレルギーは、卵・牛乳などにくらべて、年齢が高くなっても食べられるようになりにくい食物アレルギーです。また、おこすときはきついアレルギー反応になりやすい食品ですから注意が必要です。

食物アレルギーってどんな症状が出るのですか。

アレルギー検査でIgE抗体を持っているだけでは食物アレルギーといいません。食べたときになんらかの反応が出たときに食物アレルギーといいます。

一番多いのは皮膚症状で、湿疹やじんましんです。くちのまわりにぽつぽつ出る、というものから、全身まっかにはれあがる、というものまで、食べたものや量や患者さんのアレルギーの程度によってさまざまです。食べた直後に出る場合もあれば、何時間もしてかゆみが出てくるときもあります。気道が過敏な人は、咳や呼吸困難、喘息症状などの呼吸器症状が出ます。食べた後に吐いたり、おなかが痛くなったり下痢したり、というのは消化器症状です。口の中がいがいがしたり、のどや舌がぴりぴりする、気持ち悪い、というのは口腔粘膜症状で、果物のアレルギーのときによくあります。

こういうアレルギー症状がいろんなところに急速におこると、アナフィラキシーといってきついアレルギー反応です。急速に血管から水分が失われるので血圧が下がってショック状態となることがあり、これはアナフィラキシーショックといって命にかかわる状態です。ふうっと意識が遠のくときは血圧が低下していますのでただちに救急車で医療機関へいってください。

卵アレルギーと診断されましたが、いつまでどのくらい卵を除去したらいいでしょうか。

それは、患者さんのアレルギー体質、年齢、卵製品の種類・量、実際食べたときの症状やご家族の考え方など、いろんな要因によって異なりますのでいちがいにはいえません。一般的には、離乳期の赤ちゃんの卵アレルギーは、消化吸収が発達しておらず、腸管で食物が吸収されるときのアレルギーを抑える免疫反応が十分に発達していないためにおこる一時的なものです。1歳2歳と年齢がすすむにつれて食べられるようになることがほとんどです。

同じ卵でも卵白は卵黄にくらべてずっとアレルギー反応がきついですし、火をよく通した卵はアレルギー反応をおこしにくくなります。

どんな卵料理をどんなふうに食べていくかは専門医の指導を受けてください。いきなり卵とじやマヨネーズなどを食べさせると、赤くなったり吐いたりすることがあります。しっかり加熱したものから安全に始めましょう。

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