今月の独り言
何が悪いのか考えよう
9月になって急に気候が変わり、台風が来たり朝夕寒くなったり、涼しい日が増えて来ました。毎年のことですが喘息の発作が増え、乾燥が進んで皮膚のかゆみや湿疹が悪化したアトピーの子どもたちも増えて来ました。
気管支喘息もアトピー性皮膚炎も、アレルギー体質がからむ慢性疾患です。いずれも診断基準があり、症状の程度によって治療のやり方を指示したガイドラインもあります。治療すればもちろんよくなるのですが、よくなっても、何が症状を悪化させるのかということを理解してそれを除く工夫をしないと、また悪化する、ということを繰り返します。
薬を塗ってよくなるけれど(当たり前だ!)、また繰り返すので、と受診されるアトピー性皮膚炎の患者さんが多くおられます。よく聞くと、薬はもらうけど、原因や悪化因子について検索がされていないし、アドバイスもないのですね。塗ったらよくなるけどまた悪化する、繰り返すのは当然。
私はもともと小児科医で皮膚科のトレーニングを受けていませんが、アトピー性皮膚炎が、どういう悪化因子で症状がどう変わっていくかは、たくさんの患者さんがその皮膚で教えてくれました。基本は乾燥肌があって、皮膚のバリア機能が低下して湿疹ができるのです。ですから皮膚の保湿は年中かかせません。ただ、夏に比べて秋から冬は乾燥が進むので、保湿ローションではキープできないお子さんがたくさんいます。お母さん方は、化粧品を買うときに、夏はさっぱりローション、冬はしっとりローションとか言われて季節で変えているでしょう?医者がずっと同じ保湿剤で皮膚も見ずに年中同じものを出すのをおかしいと思ってくださいね。保湿剤はなんでもいいのだけれど、とにかくしっとりした皮膚を保つのには工夫が必要です。
この時期になると乾燥に加えて、運動会の練習などで保育園や幼稚園の子どもたちは足ががさがさになり湿疹が増えて掻いたりします。運動場でむき出しの足で汗や泥や乾燥で刺激が増えるのですね。そういう意味では、子どもたちの生活をよく知っている小児科医の方が、悪化因子を想像できるという点では皮膚科の先生より有利かもしれません。でも、子どもたちの生活を一番理解しているのはお母さんたちです。あれ、なぜ今日はかゆいのかしら、どうしてこんなところにぶつぶつがあるのかしら、今日は暑かったから汗ばんで首がかゆいのかしら、等々。考えていただければきっと皮膚の改善につながる工夫につながるでしょう。