今月の独り言
食べられなくてもいいか・・・
2月に入ってから、年度替わりを控えて、アレルギーの検査・診断・診断書や生活管理指導表の記入などを求めて患者さんが増え、忙しくなってきました。
最近の食物アレルギーの考え方は、アレルギーの検査値が高くても1歳過ぎたら負荷試験をして、早くから食べていこうというのが主流です。しかし何をどのくらい、どういうふうに安全に増やしていくか具体的な指導をしていくのには知識も経験も必要です。いつも重症の卵のアレルギーの子どものお母さんにいうのですが、卵料理が食べられなくても、卵の入ったパンやお菓子が普通に食べられ、揚げ物やハムやかまぼこやハンバーグに卵が入っているかおびえながら外食を選んだり避けたりする必要がなくなれば、ずいぶん生活は楽になるんじゃない?と。卵成分が何にどのくらい入ってどのくらい加熱されているかがわかれば安全に食べるものを増やして行けます。が、続けることが重要なのです。
しかし最近は働いているお母さんが増えて、忙しい方も多いせいか、食べ物が増えていく様子を3か月に1回くらいは受診して聞かせてもらって増やすやり方を進めていきたいのだけど、この時期半年ぶり、1年ぶりという受診の患者さんも多く、あまり食べるものが増えていなかったりやめてしまったりしている方も少なくありません。子どもたちも大きくなると、卵や乳の入ったものやそのものをずっと食べ続けることを嫌がり、お母さんとけんかになったりします。最近は、そんなに嫌な思いをして、家族関係が悪くなったりして食べることが苦痛なくらいなら、やめてもいいのではないかとも思うようになりました。
今のところ、アレルギーのある子どもが食べられるようになるには少しずつ食べ続けるしか方法はないので、将来のことを思って食べられるようになったほうが便利で安全だよ、と言っていたのですが、まあ10歳にもなる子が、もう食べんでいい、と宣言するのであれば、それもまた選択肢だよね、と。
もちろん親子でがんばって何年もかかって、小麦、卵、牛乳、とひとつずつ克服している患者さんもいます。患者さんの生活や考え方や日常の優先順位はそれぞれ。一番いいやりかたを相談しましょう。