コロナ急増・我慢の日々

新型コロナの感染は、ここにきて急拡大しています。GO TO なんやらでひとの移動が増えたこと、会食が増え飛沫感染が増えたこと、寒くなってウイルスの蔓延に好条件になってきたことなどがあげられていますが、本当に身近なところで感染が増えてきました。伝え聞く重症者を受け入れている医療現場は本当にひっ迫した状態です。

当科でも、学校や保育園でコロナ陽性者が出た、親の職場で出た、というのはときどきあります。幸い濃厚接触者や感染者はまだいませんが時間の問題でしょう。

とはいえ、子どもは感染しにくい、感染しても無症状が多い、重症化しないということがわかっていて、15歳未満の死亡例はゼロです。子どもがなぜかかりにくいかということについて、ウイルスの感染するレセプターが気道細胞に少ない、とか自然免疫が成人より強く働く、とか子どものほうが同じコロナウイルスの抗体を多く持っていてそれが交差免疫を作るなどいろいろいわれていますがまだわかっていません。

さて「鬼滅の刃」は全世代を超えて大ヒット中ですが、単に話が面白い、キャラクターが個性的、アニメの迫力がすごい、だけでなく、奥が深いメッセージがあちこちにちりばめられているのでみんなの心をとらえるんだと思います。我妻善逸くんは、泣き虫のヘタレキャラでありながら気を失って眠りに入るとすごい力を発揮して鬼をやっつけるのですが、彼が小さいころ修行の場で言われた言葉「泣いてもいい、逃げてもいい、でもあきらめるな」というのは、ほんとに子どもたちに投げかけたいメッセージですね。私も全集中で子どもたちに接したいと思います。

ぜんそくの落としあな

10月になって急に気候が変化し、朝夕冷え込むようになり秋らしくなりました。こうなると風邪も増えてきて、また、喘息発作のシーズンでもあります。第2週の週末は大きな台風が来て気圧が変化したことにより、今まで調子よかった患者さんでも発作が増え、クリニックでも発作吸入が増えました。また今週は、今まで長期管理(発作予防の継続治療)を受けていない子が初めて飛び込みで受診され、大発作になりかけていてそのまま救急車を呼んで入院になったこともありました。

アレルギー専門小児科医でないとあまり知られていない、喘息についていくつかの落とし穴があります。

(1)喘息かどうかの診断です。ぜいぜいいうことが3回以上あれば喘息と診断し長期管理を開始する、とされていますが、小さな子のぜいぜいと喘息の呼気性喘鳴は慣れていないと区別がつきません。また、初めての喘息発作で入院した子は100%また発作を起こしますから退院時から長期管理を開始することをお勧めします。初診で救急車で入院になった子も、数か月前喘息で入院したのですが長期管理なく、発作がおこると夜の救急で吸入を繰り返し、だんだん悪化したという経過でした。

(2)風邪をきっかけに喘息発作が起こることが多いのですが、小児科の風邪薬では咳止め、鼻水止め、去痰剤の3種組み合わせが普通です。親御さんは咳がひどいので咳止めをくれ、とおっしゃいます。喘息のない子の普通の風邪ならいいのですが、喘息発作のある時の咳止めは禁忌です。これはガイドラインにも書いてあります。喘息の時の咳は、気管支が狭くなって痰を出そうとしているので、咳を止めてしまうと痰がつまって悪化します。気管支を広げる薬が必要です。咳止めでも、アスベリンくらいならまだいいのですが、メジコンはやめてください、ほんともう。

(3)よく「咳止め」といって貼るテープを出されますが、逆にこれは咳止めではなく気管支拡張剤で喘息発作時の薬です。喘息でないひとに貼ってもあまり害はありませんが無効です。また、「ホクナリンテープ」という先発の薬は徐放剤といって、貼ってからゆっくり吸収されて効いてくるので、発作時に寝る前に貼ると夜中薬が効いているのでよく眠れるという効果があります。しかし後発品の「ツロブテロールテープ」は同じ薬がテープに入っていますが、先発品のようにゆっくり放出される効果がないので、貼ってすぐ効いて、そのあとは効果がうすれてしまいます。最近はなんでも後発品を選ぶ時代ですが、このテープをほんものの喘息の患者さんが使う場合は後発品は避けてください。

私が医者になった頃はいい薬がなく、喘息の重症児が入院すると一晩付き添って吸入や点滴や酸素投与をしていたものでした。今は喘息の子も治っていくことが多いです。ちゃんと長期管理をして発作を予防し、遊んで運動して食べて眠れる普通の生活をしましょうね!

オンライン診療って???

新型コロナの流行で、世間ではテレワークやリモート会議が普及し、働き方もいろいろ変わったように言われていますが、私どものような医療関係ではあまり関係ないですね。非常事態宣言のころ、通勤電車も駅も人が激減しましたが、私は変わらず遠距離通勤をしておりました。診療所に行って、患者さんに会って診察しないと始まらないのです。

最近オンライン診療を進める動きが高まっています。医療機関に直接行かず医者とパソコンの画面上で話をして薬をもらったりできるので、患者さんにとっては都合がいいかもしれません。でもこれは、大人(内科)の、診断のついた慢性疾患で病状が安定している場合に限られると思います。最近では初診でもオンラインが認められていますが、初めての患者さんに直接会わず診察もせずに診断するなんて、私は医者としてすごく不安ですね。

子ども(小児科)は、一般診療では、6-7割が感染症です。発熱、風邪症状、胃腸症状などです。感染症の種類によっては高熱が続くこともあるし、風邪症状から気管支炎・肺炎になることもあるし、嘔吐が続いて脱水症になることもあるし、子どもの病状は日々変わります。よくなるのも早いけど、1日で悪化することもあります。直接診察して、どこに異常があって、どのタイプの感染症か、重篤な合併症はないか、ということを診断しないと、たかが風邪でも責任はもてません。診察室に入ってくる動きや顔つきで、子どもの心身の状態がわかることも多いのです。

というわけで、小児科ではオンライン診療はできないと考えています。当科はアレルギー専門なので患者さんの7割がアレルギー慢性疾患です。慢性疾患とはいえ、アトピー性皮膚炎は悪化することも多く、直接診たほうがいいし、喘息も、発作ありませんと言われても実際に診察すると、喘鳴があったり呼吸機能が落ちていたりします。何より診療所に来られる患者さんの対応でいっぱいで、パソコンの前に座ってゆっくりお話しする時間は取れないのが現状です。もっともパソコンとかITとか苦手なんですけど。

診療所はコロナ対策をしています。なるべく人が密集しないような予約体制もとっています。変わらず子どもたちの健康のために仕事をしたいと思います。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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