5月の外来

一般小児科外来はまだ発熱が多いです。熱が続いたり高熱だと、溶連菌感染だったりしますが、普通のかぜ(上気道炎)も多いです。小さい子では、保育園でRS ウイルス感染や手足口病も流行っています。

それから、あいかわらず、喘息の診断をせず普通の小児科で短期のステロイド吸入や服用を繰り返されている子もいますね。また、喘息でこちらで長期管理している子が、咳が1か月続いて、見ると他院でメジコンを毎週出されている。聴診で痰の音がしていて、気管支拡張剤を吸入するとクリアになります。おーーーい、気管支喘息の子に咳止め出すなあ(メジコンとかアスベリンとかアストミンとか)。呼吸抑制もくるし、痰がつまるんだよう。喘息のガイドライン(教科書)に禁忌と書いてあるんだよう。・・・・いくら言っても他から注意されるとか自分で勉強するとかしないと知らないものはしょうがないですね。患者さんが迷惑こうむっていますけど。

暑くなってきて、汗や暑さで皮膚がかゆくなることが増えてきました。でもアトピー性皮膚炎でも日頃からプロアクティブ療法や、モイゼルト・コレクチムを使っていい皮膚にコントロールしておくと、そんなに悪化しないです。汗をまめに拭いて、シャワーをするとあせももできないし、ちょっと赤くてかゆくても、1~2回ステロイドを塗るだけでよくなってしまいます。

気管支喘息もアトピー性皮膚炎も、気道や皮膚が過敏で炎症が続くことが悪化の原因です。どちらも悪化因子を除きながら、喘息は長期管理薬で発作がないように飲み薬や吸入薬でコントロールし、アトピー性皮膚炎も、皮膚状態を湿疹やかゆみがないように外用薬や保湿剤でコントロールする。子どもの気管支喘息やアトピー性皮膚炎は、そうしながら治っていくのです。年長児や成人の場合は治るのは難しいけど。

こういうことを毎日患者さんにくりかえしお話ししています。

追記:5月31日の一般外来は、発熱患者15名。そのうち溶連菌が7名。手足口病とアデノウイルスとRS ウイルスが各1名ずつでした。まだまだ多いぞ、溶連菌!!

4月のシャーロックホームズ

4月は新年度、保育園・幼稚園に行き始める子どもたちが多く、いろんな病気にかかって受診されます。特に0~3歳児で、初めて集団生活に入ると、流行している感染症を次々にもらうんですね。1-2週間で鼻水がでて、1か月以内に熱が出る、というのが私の見立てです。でも、感染症といったって、普通の風邪―上気道炎がほとんどです。1~3日の発熱と鼻水・咳ですが元気です。ウイルス性の胃腸炎も流行っていますが、軽く、熱は1日のみ、半日吐いてあとは下痢が数日。でも吐き気が止まれば割と元気です。いずれもウイルス増殖がおさまるのを待つしかありません。昔は本当に重症になるあるいは合併症の多いウイルス疾患、麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜで小児科は大変でしたが、今は予防接種のおかげでほんとに見なくなりました。

少し前までは、インフルエンザ、新型コロナも流行していましたが、最近は少なくなっています。溶連菌は相変わらず流行中です。溶連菌は咽頭発赤が強く熱が続き、検査で出れば、細菌なので抗生剤という治療法があります。疑って検査することが重要です。先日高熱が4日続くと受診された子、二日目に他の小児科で検査しインフル・コロナ陰性と言われましたが、それではなんだ、とは言われていない。のどを見たら真っ赤で扁桃炎で、溶連菌を疑う所見。検査ですぐ陽性。二日前、のど赤いっていわれませんでした?と聞くとのどを診てもらってないと。私びっくり。熱の出ている子どもののどを診ない小児科医なんているの???二日前でものどを診たら、インフルコロナなんかより溶連菌の検査で診断がついたかもしれない。

咳をしているのに聴診しない、という医者もいるみたいで。耳鼻科の先生がときどき聴診せず処方した薬を見たら喘息の薬ということがあります。いやいや、聴診で喘鳴なければ喘息わからんやろ、と思いますが、耳鼻科だから聴診しなくても文句はいえない。ちゃんと聴診してくれる耳鼻科の先生もいますけど少数派。

小児科でも、熱もなく、腹痛だけとか便秘とか、そういうときは私ものどを診ないことありますけど、熱と呼吸器症状あれば、のど診て聴診は必須です。というかそうしないと診断できないです。

熱も、何度くらいの熱が、一日でどう変動してどのくらい続いているか、それによって疑う疾患が違います。溶連菌とインフルエンザの熱の経過は違うのです。アデノウイルスも特徴的な、朝下がり夜40度になる、みたいなギザギザの熱が続きます。受診の際は、熱の記録を熱型表にしてお持ちください。私は熱型表を前において、親御さんに症状を聞いて、だいたいの検討をつけて診察をし、検査をします。毎日シャーロックホームズみたいですよ。

さあ、これで連休になって、また感染症が増えるのか、どうでしょうか。

春のアレルギー外来

世間では春休みのようです。1時間かけて、御堂筋線・JRや帰りは新幹線を使って遠距離通勤をしていますが、3月半ばから、滋賀から大阪に遊びに行く小・中・高校生の男の子女の子の集団が通勤電車の座席を占めていて、座れません。京都駅・新大阪駅も、大きなトランクをひいた若者や家族連れの旅行者で歩くのも大変、新幹線のホームは、英語でない外国語が氾濫して外国人旅行者の集団でいっぱいです。普通はすぐに座れる新幹線自由席も探さないといけません。通勤だけで疲弊しています(涙)。

春なので、高校、大学の入学・卒業や就職など、長年アレルギー疾患で通ってくれて来た患者さんたちが、立派になって御礼や報告に来てくれます。うれしいことです。今は治療法が確立し、乳幼児のアトピー性皮膚炎も食物アレルギーも早くによくなるし、喘息もちゃんと治療したら子どものうちによくなることが多いのですが、重症だったお子さんたちは15歳超えても通院が必要な方も多かったのです。問題は、多くのアレルギーの患者さんに対して、アレルギー専門医が少ないことです。アレルギー科を標榜していても専門医がいるのは30%足らず、小児科医でアレルギー専門医の資格を持っているのは全国で1000人ちょっとと言われています。今でもときどき、ちゃんと長期管理ができていない喘息児がやってきてちょっとびっくりします。

年度末なので、食物アレルギーの学校生活管理指導表を求めて受診される患者さんが多いのですが、1年ぶりとか2年ぶりとかに受診される方も多く、以前に少しずつ食べるものを増やしましょうねーと指導したのにまったく食べていない方も多いです。食物アレルギーは、少しずつ食べていって体に免疫をつけていくしか、食べられるようにならないのです。アレルギー専門医ですので、安全で食べていける方法を詳しくお話しているのですが、2-3か月ごとに経過を報告してくれる患者さんは確実に食べるものが増えますが、1年ぶりの方はほとんど増えていません。日々食べていく努力をするのは大変なことなのですからそれもわかりますが。まあ、卵や乳や小麦、食べられないと不便ですが、別に食べたくないなら無理せんでもいいよーと言っています。

人それぞれの春。

 

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

Copyright © KAMESAKI Kodomo・Allergy CLINIC All Rights Reserved.