特殊な病気
私が小児科医になったころは、一般病院の小児科医は、子どもであればどんな病気でも勉強して診ていたものです。でも、時代とともに小児科も専門分野が分かれ、医師数も減少し、高度な診断技術や集中治療が必要なものや非常にまれな病気は、大学病院、小児医療センターへ、感染症や急性疾患は一般病院、とすみわけをするようになりました。専門医に任せる病気としては下記のものがあります。
新生児・未熟児
生まれてすぐの赤ちゃんの病気は急速に悪化することが多く、たくさんの熟練したスタッフが必要です。昼夜もありません。最近では新生児については集約化され、地域の新生児センターに送るシステムになっています。
心臓疾患
子どもの心臓病は先天性の奇形が多いのです。超音波やカテーテル検査など特殊な検査が必要ですし手術が必要な場合は心臓外科との連携も必要なので、循環器病センターなどに紹介します。
悪性疾患
数は少ないのですが実は子どもにも癌はあって、とくに白血病がその半数を占めています。私も昔はこの分野を専門にしていて子どもの癌の治療をやっていましたが、骨髄移植など特殊な施設や装置、技術が必要になってくると、一般病院で治療するのが難しくなってきました。大きな医療センターや大学病院などで治療してもらうのが一般的です。
甲状腺や糖尿病、小人症など内分泌系の病気
甲状腺や糖尿病、小人症など内分泌系の病気は子どもでは少なく、専門医のほうが経験があり適切な治療ができるでしょう。
神経の病気
神経の病気でいちばん多いのはてんかんです。けいれんを繰り返す病気です。熱性けいれんと違って、てんかんは脳波に異常があり、抗けいれん薬が必要です。脳波検査を定期的にしたり、ときにCTなども必要ですし薬の使い方も経験がいるので、これも私のクリニックではやりません。専門医に紹介します。
発達・発育障害
発達・発育障害はときに遺伝的な病気や代謝障害など難しい病気も混じっています。また遅れのあるお子さんにはそれぞれに適した療育が必要ですので専門機関や施設での定期通院が望ましいでしょう。ただベースに障害があっても、日常の感染症などは診させていただきます。
心身症、学習障害、登校拒否など
心身症、学習障害、登校拒否など。最近は増えています。心身症を専門とした小児科医や児童精神科医は実は数が少なくて、対応できていないのが実情です。心理カウンセラーや教育相談員など、医者以外のスタッフも重要。いわゆる「育てにくいこども」「こだわりのあるこども」などは発達障害がベースにあることがあります。最近は、地方自治体の保健師や、通園している保育園、幼稚園や学校の先生から、専門職に相談できるところも増えてきました。